【エステルハージ】
ヘレンド展では1番最初に このシリーズの大きなサービスが 磁器制作の奔りとして展示されます。ヘレンドの歴史上 興味深い作品です。
ブランド箱330円 ギフト包装用に正規代理店から購入
明の雑彩から 黄地緑彩角鉢~松岡美術館(東京) 制作の至難さ
「雑彩」とは この絵で説明すると まず黄色で 絵付けし 次にその輪郭線を緑色で描き 更に余白を塗りつぶしていきます。そうすると 黄色の地に緑色の絵が浮かび上がります。口で言うのは簡単ですが 実際は 黄色の地に 筆目を残さず 緑色の絵を浮かび上がらす効果を表現するのは至難の業です。
中国の雑彩様式を マイセン流に表現したのが はじき技法である。染物の蝋けつ染めの原理に同じである。またヘレンドでは磁器の始め期に 雑彩様式エステルハージの復刻に 地色を削り落とし 白抜きの絵を作るという方法でしたが すくに簡単なはじき技法に至りました。実際 マイセン最初期の このはじき技法は より簡単 より繊細に 雑彩様式効果を あらわせております。蝋結染めの奔りは 現中国新疆ウィグル自治区に 2~3世紀の頃に見られ その後 世界各国で 行われておりました。元祖中国の 磁器職人が 他業界の技法とはいえ 蝋纈染めに思い至らず(職人気質の面目が許さなかったのかも) 手間暇かかる雑彩様式に 固執しておりましたのに いとも簡単に はじき技法に至るとは 合理性(費用対効果)を重んじる 欧州人の 面目躍如たる所です。(存外 マイセンでは この緻密な雑彩様式に思い至らず 本家中国でも はじき技法によっていたと思っていたかも)。
蝋結染めの奔り
新疆ウイグル自治区は、中華人民共和国の西端にある自治区である。1955年に設立され、首府はウルムチである。
民族構成はウイグル族のほか、漢族、カザフ族、キルギス族、モンゴル族(本来はオイラト族である)などさまざまな民族が居住する多民族地域であり、自治州、自治県など、様々なレベルの民族自治区画が置かれている。
特にこの地域で生産される新疆綿といわれる綿は、エジプト綿(ギザ綿)、スーピマ綿と並んで世界三大高級コットンと呼ばれ、繊維が長く光沢があり高級品とされています。
バハン陶器窯(1826年開窯)であったヘレンドが 皇帝フランツ・ヨゼフ一世に 実質的創業者モール・フィシェルが 磁器の制作を許され(1839年) 最大の応援者で ロシア大使を務めた(ハイドンを楽長とするオーケストラも持つ 芸術に造詣の深い貴族)エステルハージ公の持ち帰った 雑彩技法の中国磁器(漢字を真似たもの あり)を ヘレンド流に焼き直し 復刻しました。
ハイドンの「ピアノ三重奏曲集」クラシック音楽の小窓
リッセ・シェープ 草創期 エステルハージ・シェープはなかった。後に 絵を美しく見せながら シェープ自体もリッセより 華麗なシェープに 筆頭スポンサーであった エステルハージ侯爵に敬意を表して名づけられたらしい。
ヘレンドには オジア,ロカイユ,リッセ,エステルハージ,シェープがあります。面白いのはバロックを代表する(マイセン#02,ジノリのベッキオ)をロカイユ(ロココ)と名付けています。ネオクラシック時代創窯のヘレンドにあっては 多分時代を読み誤ったのでしょう。もしくは 歴史を古く箔付けするのに バロックでは 誇張が過ぎるし ロココどまりにしたのでしょうか? 1部学者に ロココを バロックの延長とする説はありますが バロックをロココとするのは 明らかな間違いです。
1864年閉窯の大先輩ウィーン窯の 受け入れは 絵のみ (金緑彩パセリ文, ワインリーフetc.) で シェープは デコラティブな貴族趣味を旨とする ヘレンドにあっては 奇を衒わぬ機能性を 旨とする ウィーンとは 相容れず その影響は見られません。
モンゴリアン・フン族が 一時 ヨーロッパを席捲しました。ハンガリーを主要領土とする 初の独立国家を 打ち立てました。 やがて ゲルマン等に 押し返されるのですが ハンガリーは フン族が踏みとどまって 建国した 数少ない国です。(現ハンガリー第三共和国は ウラル山脈を起源とする マジャル人の896年をもって建国としている。いかに調べても マジャル人がハンガリーに移住してきた頃で 建国とする根拠が判らないのです。当時 ハンガリーでは最大でも マジャル人48.1%で過半数に及んでいない。
(「血の伯爵夫人」バートリ・エルジェーベトを調べていて判ったのは ハプスブルグ王家からの独立を ハンガリーのマジャル貴族達が 血を購って勝ち取った事です。 彼らは建国の歴史的正当性を ハンガリーへの登場にまで遡ったと理解しました。)
10世紀末に即位したハンガリー人の君主イシュトヴァーン1世(マジャル人の大首長)は、西暦1000年に本格的にキリスト教(カトリック)に改宗し、ローマ教皇からハンガリー王の戴冠を受け、西ヨーロッパのカトリック諸王国の一員であるハンガリー王国(アールパード朝)が成立した。現ハンガリー第三共和国のヘレンドは 1996年を 建国1100年記念年として 清の花籠, 2001年 ヘレンド創立175周年記念に カーニバルフィギュアを発表しました。)マイセンのシノワズリのコピーから やがて オリジナリティー・シノワズリへの発展は フン族の末裔の 血がなせる業でしょう。